中国特許手続きの一部費用に関する公告および通知について

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発行月
2024年9月
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概要

中国国家知識産権局は2024年8月6日付で「一部の特許費用基準および減額政策の調整に関する公告(第594号)」(以下、公告第594号)を公表しました。また、同日付で公告第594号の実施を保証するために「特許権存続期間補償の費用納付等に関する通知」(以下、関連通知)を発行しました。公告第594号の趣旨は、2024年1月20日に施行された改正専利審査指南(以下、改正指南)にて新たに規定された一部内容に関する庁費用または減免の公表です。今回は公告第594号および関連通知について特許に関する内容を紹介します。

目次

  1. 特許権存続期間補償に関する費用
  2. 審査請求費用の減免
  3. 開放許諾の年金費用に関する減額
  4. 書誌事項の一括変更に関する費用

1.特許権存続期間補償に関する費用

(1)補償の申請費用
特許権者が特許権存続期間補償を申請する場合、授権公告日から3ヶ月以内に申請と費用納付を行う必要があります(改正指南第5部分第9章2.1)。この費用が200元(約4,000円)に決まりました(公告第594号)。2024年7月26日以前に申請された案件の納付期限は2024年10月26日です。納付期限までに全額納付されなかった場合、補償は認められません(関連通知)。

(2)補償期間の年金費用
補償が認められた場合、特許権者は補償期間の年金として8,000元(約160,000円)/年を納付する必要があります。1年未満の部分は納付不要です(公告第594号)。例えば、補償期間が2.5年の場合、1年未満部分の0.5年を除く2年分が納付対象となり、納付額は2年×8,000元=16,000元(約320,000円)になります。納付期限は出願日から20年の権利満了日です。納付期限までに一括で全額納付されなかった場合、補償は認められません。また、補償期間の年金には通常の年金納付で認められる納付期限徒過後の追納、および追納期間経過後の権利回復の機会は無く、減免措置の適用もありません(関連通知)。

(3)上記の申請費用および年金費用は、通常特許および医薬品特許の存続期間補償に適用されます。

2.審査請求費用の減免

(1)専利審査指南の改正とその後の状況
旧専利審査指南第3部分第1章7.2.2は後段で、欧州特許庁、日本特許庁、およびスウェーデン特許庁が国際調査機関として国際調査報告を作成する国際出願から中国に移行する案件に対し審査請求費用の20%減額を認めていましたが、2024年1月20日の改正でこの後段が削除されました。しかし、改正後も、審査請求費用の減免廃止確定に必要な財政部門の認定を受けるまで減免された金額(2,000元)が納付されていました。

(2)公告第594号および関連通知による公表
中国国家知識産権局は、財政部門が2024年7月26日付で本件費用に関する通知を発行したことを受け、同日より中国移行する国際出願のうち、中国国家知識産権局が国際調査報告および国際予備審査報告を作成しない案件は、減免措置の適用がない限り、審査請求費用(2,500元)が全額納付されなければならないことを公告第594号および関連通知で公表しました。2024年7月26日以降に中国に移行し審査請求費用として2,000元のみ納付した案件は、審査請求期限までに残り500元(約10,000円)を追納する必要があります

3.開放許諾の年金費用に関する減額

中国では特許権の有効活用の促進を目的として、特許権者が特許権を開放する旨の声明を行い、希望する第三者とライセンス交渉を行う開放許諾制度が導入されています(専利法第50条、51条)。開放許諾実施契約の届出が承認された場合、特許権者は開放許諾の実施期間中に規定に従い届出日からまだ満了になっていない「年金費用の軽減」を享受することができます(改正指南第5部分第11章8節)。この軽減が15%に決まりました。他の減免措置の適用を受ける場合は併用が認められず最も有利な方を選択することになります。ただし、複数の減免措置の適用を同時に受けることはできません(公告第594号)。

4.書誌事項の一括変更に関する費用

出願人が書誌事項変更請求により権利の移転に関係しない出願人/特許権者の氏名または名称の変更を一括で行う場合、関連の規定に基づいて費用を納付します(改正指南第1部分第1章6.7.1.2)。この一括変更に係る費用は件数に関わらず1件分(200元)の金額となりました(公告第594号)。