インド特許規則改正について

概要
発行月
2023年11月
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概要

インド特許庁は2023年8月22日付で特許規則改正案を公表しました。公表から1ヶ月のパブリックコメント期間が設定され関係者から多くの意見が寄せられたようですが、現時点で実施時期や最終内容は明らかになっていません。公表された内容が修正なく実施されるといくつかの手続きが大きく変わるため、諸々未確定の状態ですが現時点で公表されている主な内容について紹介します。

目次

  1. 対応出願情報の提出について
  2. 審査請求期限について
  3. 年金の複数年納付について
  4. 実施陳述書について
  5. 期間延長について

1.対応出願情報の提出について

(1)特許法8条(1)の対応出願情報陳述書(a)および当該インド出願の特許付与日まで情報を通知し続ける旨の誓約書(b)((a)(b)の書式はForm 3)に関し、現行規則は(a)(b)の提出期限を当該インド出願日から6ヶ月以内、(b)の誓約に基づき特許付与日まで提出し続ける情報の提出期限を当該対応出願日から6ヶ月としています。改正案は(b)の誓約に基づく情報提出期限を最初の拒絶理由通知発行日から2ヶ月に変更します(改正規則12(2))。(a)(b)を当該インド出願日から6ヶ月以内に提出することに変更はありませんので注意が必要です。

(2)特許法8条(2)の対応出願審査情報に関し、現行規則は提出期限を要求された日から6ヶ月としています。改正案は出願人の提出義務を廃止し、審査官がアクセス可能な公共データベースを使用して対応出願の審査情報を自ら入手し考慮すると変更します(改正規則12(3))。

2.審査請求期限について

現行規則は、審査請求期限を出願の優先日または出願日のどちらか先の日から48ヶ月以内としています。改正案は出願の優先日または出願日のどちらか先の日から31ヶ月以内に変更します(改正規則24B(1))。

※本改正規則の施行前に行われた出願の審査請求期限は現行規則に従います。

3.年金の複数年納付について

現行規則は2年分以上の年金を一括して前納できるとしています。改正案はこれに加え、4年分以上の年金をe-filingにより前納する場合は納付金額の10%が減額されるとします(改正規則80(3))。

4.実施陳述書について

(1)現行規則は、実施陳述書(Form 27)は特許が付与された会計年度(4月1日~翌年3月31日)の直後の会計年度から各会計年度に1回、その会計年度終了から6ヶ月以内に提出するとしています。改正案は特許が付与された会計年度の直後の会計年度から3会計年度に1回、3会計年度目の終了から6ヶ月以内に提出すると変更します(改正規則131(2))。

(2)改正案のForm 27フォーマットは以下のように変更されます。

①現行フォーマットにある製造および/またはインドへの輸入から発生する収益/価値に関する情報や不実施理由の記載欄は無くなり、特許発明の実施有無の記載欄のみがあります

②共同特許権者の中の1名が他の特許権者のために単一のForm 27を提出できる旨、および、特許製品がインドに輸入されたことだけを理由に当該特許発明は「実施されていない」とはみなされない旨が明記されます。

5.期間延長について

現行規則は、適用除外事項を除き、審査官が本規則に規定する期間を適切であると認め、かつ、条件を指定して1ヶ月の延長を認めることができるとしています。改正案では適用除外事項が削除され、審査官は本規則に規定する期間を適切であると認め、かつ、条件を指定して6ヶ月を上限として延長を認めることができると変更します(改正規則138(1))。

※適用除外事項には、インドへの国内移行出願、優先権証明書およびその翻訳文提出、審査請求、特許付与のために整備する期間(最初の拒絶理由通知発行日から6ヶ月)、年金納付の延長などがあります。
※一部の現地代理人は最終案において全ての適用除外事項が削除されることに懐疑的です。国内移行期限や審査請求期限に6ヶ月の延長は適用されないと予想しています。このため、パブリックコメントにおいて全ての適用除外事項に6ヶ月の延長が適用されることを明確にするよう求める意見が多くあったようです。
※改正案の料金表において、1ヶ月の延長料金は50,000インドルピー(約90,000円)とされています。

複数の現地代理人に改正規則の実施時期を問い合わせましたが、不明という趣旨の回答がほとんどでした。各改正案に対してインド特許庁に多くのパブリックコメントが寄せられている模様です。インド特許庁は改正案の修正検討に時間を必要としていると思われます。今回の規則改正の内容次第で弊所の案件管理にも影響する見込みですので、引き続き動向を注視してまいります。