2021年度及び2022年度のインド特許出願統計

概要
発行月
2024年2月
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概要

インド特許庁が2021年度及び2022年度のインド特許出願統計をそれぞれ公表しましたので、これに基づきインド特許出願の概況について2年度分をまとめて紹介します。

目次

  1. 出願件数
  2. 上位出願国(10ヶ国)
  3. 審査および登録件数

1.出願件数

総合計は2年度連続で最大値を更新しました。内訳では内国人第1国出願件数増加が顕著で、2021年度に外国人PCTルート出願件数を、2022年度に外国人合計出願件数を上回りました。外国人第1国出願件数も堅調です。インド政府が2014年に掲げた国内産業保護、さらに2020年頃から実施している国内製造する外国企業向けの優遇政策が特許出願件数にも影響していると思われます。

2.上位出願国(10ヶ国)

内国人出願件数は2021年度に全体の40%、そしてついに2022年度に半分を超えました。米国は前年度比が2年度連続で二桁台の大きな伸びを示しています。中国は近年著しい増加を見せてきましたが2021年度に5年ぶりの減少です。韓国は減少傾向のドイツを尻目に確実に5位を維持しています。

在外国出願人の出願件数に関し、米国QUALCOMMがこの2年で大きく伸び首位に返り咲きました(2021年度:1,622件、2022年度:3,482件)。中国HUAWEIは2019年度(1,448件)をピークに減少傾向です(2021年度:849件、2022年度:936件)。在外国通信機器メーカーはインドを第5世代移動通信システム(5G)市場として注目し、生産工場設置やインド国内通信事業者への投資を行っています。インド出願件数を技術分野別で見るとコンピュータ、機械、通信分野が成長の中心になっています。在外国出願人のインド通信事業において、順調な企業もあれば、インドとの国境問題が影響しインド政府より国内排除の扱いを受けている企業もあります。インドでの通信事業盛衰状況が在外国人出願件数、さらにその在籍する国別出願件数に反映されています。

3.審査および登録件数

審査(First Examination Report(FER)発行)件数は減少、登録件数は増加傾向です。審査件数減少はCOVID-19 パンデミックの他、インド特許庁が未審査バックログを2016~2018年に集中して解消し、その後FER以降の処理(特許査定、拒絶査定、出願取下)に注力しているためで、今後は審査請求件数に合わせて変動する見込みとの情報があります。2021年度の処理件数減少はインド特許法21条の期間延長に伴い約1,600件の処理が延期され、この件数が含まれていないという事情です(これを含めると前年度と概ね同値です)。