インド特許規則改正/実施陳述書に関する現在の情報

概要
発行月
2024年6月
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概要

2024年4月の外国特許トピックスにてインド特許規則改正を紹介しました。この中で、実施陳述書の今後の提出期限を記載しましたが、記載内容が実際に実施されるものとは異なる可能性が出てきました。今回はインド特許規則改正にともなう実施陳述書提出期限について現在の情報を紹介します。

目次

  1. 2024年4月の外国特許トピックスで紹介した内容
  2. 特許登録日起算
  3. インド特許庁の反応/弊所の対応

1.2024年4月の外国特許トピックスで紹介した内容

(1)実施陳述書(Form 27)は特許が付与された会計年度(4月1日~翌年3月31日)の直後の会計年度から3会計年度に1回、3会計年度目の終了から6ヶ月以内に提出することになります(新規則131(2))。
The statements referred to in sub-rule (1) shall be furnished once in respect of every period of three financial year, starting from the financial year commencing immediately after the financial year in which the patent was granted, and shall be furnished within six months from the expiry of each such period.” (Rule 131, sub-rule (2))

(2)複数のインド事務所に確認の上、実施陳述書の今後の提出期限は以下のようになる見込みと紹介しました。上記は実施陳述書の提出期限について直近の提出日を起算点に考えます(直近提出日起算)。№1は既に2023年9月30日までに2022年度分の実施陳述書を提出しているため、次回は新規則に従い2023年度、2024年度、および2025年度の3年度分の実施陳述書を2026年9月30日までに提出することになります。№2は初回の実施陳述書をこれから提出するため初回から新規則が適用され、結果的に報告対象期間と提出期限が№1と同じになります。

(3)直近提出日起算に従うと、2022年度分の実施陳述書を提出している特許に関し、規則改正後最初の提出期限は2026年9月30日になります(実施報告対象期間:2023年4月1日~2026年3月31日)

2.特許登録日起算

(1)2024年4月の外国特許トピックス作成後、インド代理人15事務所に実施陳述書の提出期間の最新情報を問い合わせました。回答のあった11事務所のうち7事務所は直近提出日起算に従い回答してきました。一方、残りの4事務所は当該特許の登録日を起算点に考え回答してきました(特許登録日起算)。特許権者は特許が登録された年度の直後の年度から3年度分を対象とする実施陳述書を対象年度終了直後の9月30日までに提出し、これを3年ごとに繰り返すとします。これに従うと、最近登録された特許の提出期限は以下のとおりです。※№1の実施報告対象年度は、すでに2021年度分と2022年度分の実施陳述書を提出していること、および、現在、インド特許庁のe-filingポータルサイトで表示されている対象年度が2023年度分となっていることから、2023年度分のみになると見込まれています。№2も同様に2023年度分と2024年度分になる見込みです。

(2)特許登録日起算に従うと、2005年度、2008年度、2011年度、2014年度、2017年度、および、2020年度に登録された特許は、規則改正後最初の提出期限が2024年9月30日になります(実施報告対象期間:上記※のとおり2023年4月1日~2024年3月31日)

3.インド特許庁の反応/弊所の対応

(1)インド特許庁は現時点で提出期限の起算点について公式見解を発表していません。複数のインド事務所が新規則131(2)において起算点が明確でないためインド特許庁に対し公式見解を発表するよう依頼していますが、現時点でインド特許庁からの反応は確認できていません。

(2)弊所はインド特許庁の公式見解を待ちつつも、起算点の考え方によって提出期限が3ヶ月後に迫る案件が発生する状況への対応方法を検討しています。特許登録日起算とするインド事務所は安全サイドに立った対応を推奨しています。弊所もインド特許庁が特許登録日起算を採用する可能性に備え、上記2.(2)該当の特許を保有されていて弊所宛にインド実施陳述書の提出をご依頼予定のお客様に対し、本稿をもって2023年度分の実施情報のご準備を呼びかけさせていただきます(規則改正により実施陳述書に記載が必要な情報は簡易化されました(2024年4月外国特許トピックス参照))。個別案件の正式な手続き照会状は、本件状況を踏まえた内容とタイミングでお送りいたします。