インド特許規則改正の実施について

概要
発行月
2024年4月
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概要

インド特許庁は2023年8月22日付で公表した特許規則改正案を2024年3月15日より実施しています。今回は改正された主な手続きに関し出願人/権利者に要求される内容と注意点について紹介いたします。また、別紙に改正前後の比較など補足情報を記載しましたので、こちらも併せてご覧ください。

目次

  1. 対応出願情報の提出について
  2. 審査請求期限について
  3. 実施陳述書について
  4. 期間延長について

1.対応出願情報の提出について

(1)特許法8条1項の対応出願情報陳述書(a)、および、インド出願の特許付与日まで対応出願情報を提供し続ける旨の誓約書(b)((a)(b)の書式はForm3)の提出タイミングは以下の3パターンになりました。

  1. インド特許庁宛出願手続き日から6ヶ月以内(今までと変更なし)
  2. 最初の拒絶理由通知発行日から3ヶ月以内(「対応国が出願手続きされる都度」がこの1回のみに変更)
  3. 審査管理官より提出を要求された場合はその日から2ヶ月以内(要求された場合に限り提出が必要)

特許法8条2項の対応出願審査情報の提出義務は無くなりました。

(2)Form 3の項目にあった”Date of Grant”が”Date of Disposal”に変更されました。弊所はDate of Disposalの情報として、特許付与日や放棄(日本基礎出願のみなし取り下げ含む)日を現地代理人に提供します。

2.審査請求期限について

(1)審査請求は出願の優先日または出願日のいずれか早い方から31ヶ月以内に行う必要があります。

(2)新規則は2024年3月15日以降にインド特許庁宛出願手続きされた案件に適用されます(国際出願日とは無関係)。2024年3月14日までにインド特許庁宛出願手続きされた案件は旧規則(48ヶ月)に従います。

(3)国際出願からインドに移行する案件をご依頼いただく場合、移行期限(優先日から31ヶ月)と審査請求期限が同じになるため、審査請求は移行手続き時に行わせていただきます。

(4)分割出願の審査請求は出願の優先日もしくは出願日から31ヶ月、または分割出願手続き日から6ヶ月のいずれか遅い方までに行う必要があります。親出願の審査が始まっていれば分割出願と同時に審査請求を行う必要があります。弊所では親が審査請求済の場合は分割出願時に審査請求を行わせていただきます。

3.実施陳述書について

(1)実施陳述書(Form 27)は特許が付与された会計年度(4月1日~翌年3月31日)の直後の会計年度から3会計年度に1回、3会計年度目の終了から6ヶ月以内に提出することになります。

(2)今後の提出期限について複数の現地代理人に確認したところ、以下のようになる見込みです。

特許登録となった期間

実施報告対象となる期間

提出期限

1

      ~2022年3月31日

2023年4月1日~2026年3月31日

2026年9月30日

2

2022年4月1日~2023年3月31日

2023年4月1日~2026年3月31日

2026年9月30日

3

2023年4月1日~2024年3月31日

2024年4月1日~2027年3月31日

2027年9月30日

4

2024年4月1日~2025年3月31日

2025年4月1日~2028年3月31日

2028年9月30日

(3)Form 27において以下の点が変更されました(Form 27の抜粋サンプルは別紙参照)。

  1. インドで製造/輸入された特許の概算収益/価値に関する欄が削除されたため、この情報は不要です。
  2. 実施していない場合は4つの選択肢(開発中または商業試験中/規制当局による審査または承認中/商用ライセンスの検討中/その他)からその理由を選びます。
  3. 本特許のライセンス可否についてのチェック欄が新設され、YES/NOいずれかを選びます。
  4. 特許製品がインドに輸入されたという理由だけで当該特許が実施されていないとみなされない旨の注意書きが表示されることになりました。特許製品がインドで製造されておらずインドに輸入されている場合、その特許は「実施済み」とみなされます。

4.期間延長について

(1)審査管理官は自らの判断により条件を定めて手続き期限を最長で6ヶ月延長できるようになりました。

(2)対応出願情報提出、拒絶理由通知応答、および、実施陳述書提出は本規則とは別に3ヶ月の期間延長が認められています。しかし、これらの期間延長は本規則の例外か、それとも併用できるのか現時点では明確ではありません。今後の運用を注視していく必要があります。

(3)延長料金はINR50,000(約90,000円)/1ヶ月(上記(2)のForm 3およびForm 27はINR10,000(約18,000円)/1ヶ月、拒絶理由通知応答はINR4,000(約7,200円)/1ヶ月)です。