インド特許庁が 2023 年度のインド特許出願統計をそれぞれ公表しましたので、これに基づきインド特許出願の概況について紹介します。
目次
- 出願件数
- 上位出願国(10 ヶ国)
- 審査および登録件数
1.出願件数
総合計は順調に増加しています。内訳を見ると内国人出願件数と外国人第 1 国出願件数の伸びが目立ちます。インド政府が国内において実施している大学・教育機関、中小企業、スタートアップ企業向けの知的財産に関する啓発活動(研修セミナー、意見交換会)により、大企業以外からの出願件数も増加しています。
2.上位出願国(10ヶ国)
内国人出願件数は 2022 年度に全体の半分を超え、続く 2023 年度も増加を見せています。そのほか、韓国も大きく伸び、また、欧州諸国も全般的に増加傾向でした。中国はここ最近増加の勢いが止まっています。在外国出願人の出願件数に関し、米国 QUALCOMM が若干の減少も 2 位と大きく差をつけ首位を維持しています(3,017 件、前年比-13%)。インド国内のスマートフォン製造でシェアを伸ばしている 2 位の韓国 SAMSUNG は前年度から大きく増加しました(1,555 件、前年比+59%)。対照的に、3 位の中国 HUAWEI はやや大きく減少しました(681 件、前年比-27%)。インド政府が 2023 年 8 月に禁輸措置を行ったことにともない、 HUAWEI はインドにおける事業縮小を図っており、この影響が出願件数にも少なからず反映しているようです。
3.審査および登録件数
審査(First Examination Report(FER)発行)と処理(特許/拒絶査定、出願取下)の合計件数が急増した2017年度以降、審査:処理は6:4でしたが(合計件数は120,000件前後で推移)、2022年度は割合が逆転し、2023年度では1.3:8.7になりました(合計件数は約144,000件に増加)。弊所管理案件において2023年~2024年に特許査定となったインド出願に関し、審査請求日から、①FER発行まで平均12ヶ月、②特許査定まで平均40ヶ月でした。①、②ともに年々短縮されています。①は従前の滞留が解消されたようですが、②は他国との比較で少し時間がかかっています。2024年3月の規則改正において審査請求の期限を早めて早期審査に向けた運用が強化されましたが、早期権利化のためには処理への更なる注力が求められます。