PCT-2024年のPCT出願件数統計

概要
発行月
2025年3月
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概要

WIPOが2024年におけるPCT出願件数の暫定統計を公表しましたので、PCT出願件数の概況について紹介いたします。

目次

  1. 総出願件数
  2. 上位出願国(出願人居住国)
  3. 上位出願人
  4. その他PCT関連情報

1.総出願件数

2024年のPCT出願の総出願件数は、暫定で273,900件と発表されました。これは前年(272,416件)との比較で、件数にして1,484件、率にして約0.5%の増加となりました。

2.上位出願国(出願人居住国)

2024年はインドとフィンランドが大きく伸びました。各国特許庁が2023年に受理した出願件数上位20ヶ国のうち、この2ヶ国に居住する出願人による出願件数だけが前年との比較で2桁台の増加率を記録しました。その結果が1年後のPCT出願件数増加につながっていると思われます。

右上グラフは往年のTOP3(米国、日本、ドイツ)と成長株TOP3(中国、韓国、インド)の出願件数推移です。インドの出願件数は10年前と比べ3倍以上に増加しました。インド政府がPCT出願啓発プログラムとして全国でセミナーを開催し、スタートアップ、中小企業、大学などがこの影響を受けて出願件数を増やしているようです。近年の傾向が続けばTOP5入りも期待できます。右下表はインドに居住する出願人のPCT出願受理官庁内訳の一部です。2023年はIB直接出願件数が大幅に増加しましたが、2024年はインド特許庁出願件数が倍増し、IB直接と同程度になりました。2024年のIB直接出願件数は減少しましたが最多利用国の座を維持しました。

3.上位出願人

Huaweiは8年連続で首位でした。昨年初めてTOP10入りした大手電気自動車用の電池メーカーContemporary Amperex Technologyは順位を3つ上げました。全般的に出願件数が増加したTOP10の中でも大きく増加したのがSamsung ElectronicsとBeijing Xiaomi Mobile Softwareです。Beijing Xiaomi Mobile SoftwareはAndroidスマートフォンのアプリケーションなどソフトウェア開発を行っている会社です。出願件数は4年前との比較で4倍以上に増加して初めてTOP10入りしました。ソフトウェア業界は今後も成長する見込みがあるため、来年は更に順位を上げる可能性があります。

4.その他PCT関連情報

ウルグアイが158番目のPCT加盟国となり、2025年1月7日よりPCT制度を利用してウルグアイで特許保護を求めることが可能になりました。