中国特許の譲渡における規制について

概要
発行月
2025年12月
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概要

中国企業所有の中国特許を外国企業に譲渡することが、中国国内で規制されている「技術輸出」に該当し、譲渡が認められない、または、中国特許庁宛の名義変更手続き以外に中国当局宛の手続きが必要という場合があります。譲受人となる外国企業は手続きに必要な書類の提出を求められます。今回は中国企業が所有する中国特許の譲渡における規制について紹介します。(本稿において安全保障規定関連の記載は省略します。)

目次

  1. 技術輸出入管理条例
  2. 規制対象
  3. 規制概要
  4. その他注意事項

1.技術輸出入管理条例

中国の技術輸出入の管理を規範化してその秩序を維持し、国民経済と社会発展を促進することを目的として、対外貿易法およびその他関連法規に従い、2001 年に技術輸出入管理条例が制定されました。本条例は技術の輸出入を「貿易、投資または経済技術協力を通じて技術を移転する行為」と定義し、特許/特許出願の移転、特許実施許諾、ノウハウの移転、技術サービスおよびその他の方式の技術移転を含むとします。

2.規制対象

対外貿易法第十六条の条項に該当する技術輸出は禁止または制限されます。具体的な対象は「輸出禁止・輸出制限技術目録」に明記されています。2025年7月15日付で追加・削除・修正された内容はこちらです。

3.規制概要

(1)輸出禁止項目に該当する技術は、これを含む特許譲渡自体が禁止されます。
(2)輸出制限項目に該当する技術は、中国企業が国務院外経貿主管部門宛に輸出許可の申請を行い、審査を経て許可を得た後にこの技術を含む特許譲渡契約が可能になります。外国企業は契約当事者として法的地位を証明する書類(登記簿謄本など)の提出を求められます。許可取得までの期間は通常1~2ヶ月、現地費用は¥400,000~\500,000ほどかかります(官庁費用無し/中国語翻訳費用除く/事案により金額に変動あり)。
(3)輸出禁止・制限項目に該当しない自由輸出技術は、中国企業がその所在地にある商務主管部門宛にこの技術を含む特許譲渡契約内容をオンライン登録する必要があります。外国企業は(2)同様に登記簿謄本などの提出を求められます。登録までの期間は通常1~2週間、現地費用は¥200,000~\300,000ほどかかります(官庁費用無し/中国語翻訳費用除く/事案により金額に変動あり)。
(4)特許譲渡が輸出禁止・制限に違反する場合、中国国内の刑法に従い刑事責任を追及されます。刑事責任を負わなくても、状況に基づき税関法関連規定に従い処罰、または当局に警告を言い渡され違法所得の没収、かつ罰金が科されます。自由輸出技術の登録が特許譲渡契約の効力発生日より60日以内に行われない場合、契約の締結日を修正したうえで再締結する必要があります。

4.その他注意事項

(1)地方により外国企業が要求される提出書類が異なる場合があるため、中国代理人への確認が必要です。
(2)当局が契約内容を審査するため、契約が審査基準を満たすか中国代理人への事前確認を推奨します。
(3)輸出許可の有効期限は3年のため、早めに中国特許庁宛に名義変更手続きを行うことを推奨します。