ブラジル特許庁費用の改定

概要
発行月
2025年6月
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概要

ブラジルの開発・産業・貿易・サービス省(MDIC)は政令GM/MDIC第110号を公布し、ブラジル特許庁の費用改定を発表しました。新しい費用は2025年8月7日の納付より適用されます。今回はブラジル特許庁の費用改定について紹介します。

目次

  1. 庁費用改定の背景
  2. 庁費用の新旧比較
  3. 特許証発行費用の廃止

1.庁費用改定の背景

今回の改定の主目的は、財源確保、および特許庁業務の近代化と知的財産サービスへのアクセス拡大です。財源確保について、現行の庁費用は2012年より施行されており、今まで値上げは行われていませんでした。2012年1月(前回の庁費用調整日)から2024年12月の間に消費者物価指数で測定された累積インフレ率が102.4%の上昇を記録し、庁費用においてもこの調整を余儀なくされました。もっとも、利用者への金銭的影響を配慮してMDICガイダンスに従い、各項目の値上げ率は49%を上限としました。最終的な調整の結果、全体の平均値上げ率は24.1%です。

2.庁費用の新旧比較

主な手続きの新しい費用は以下のとおりです。(日本円は1ブラジルレアル=26.00円として算出しています。)

3.特許証発行費用の廃止

(1)特許は、出願が承認され、関連する費用(上記№7および№8)についての納付が確認された後に特許証が交付されます(ブラジル産業財産法38条)。出願が承認(特許査定)された旨が官報に掲載された日から60日以内に納付する場合は№7(同条1項)、さらに30日以内に納付する場合は№8(同条2項)が適用されます。
(2)今回の改定では、特許証発行費用の未払いによる権利喪失リスクを回避する目的で、特許証発行費用が2025年12月20日付で廃止されることも発表されています。ブラジル特許庁は今回の庁費用値上げで特許証発行費用の補填を賄うことができると見込んでいるようです。
(3)廃止にあたり、納付期限が最長90日間あることを考慮して以下の経過措置が設定されます。
①2025年9月21日以降に特許査定となった案件は、特許証発行費用の納付は任意となります。納付すると、特許証の発行が前倒しされます。納付しないと、特許証は2025年12月20日以降に発行されます。
②2025年12月20日以降に特許査定となった案件は、特許証発行費用の納付を要求されません。特許査定の通知は特許査定を知らせるのみとなり、その後、自動的に特許証が発行されます。

現行庁費用金額での納付をご希望の場合はお早めにご連絡くださいますようお願いいたします。